学部・学科紹介-農学部-

学部・学科紹介-農学部-

学部・学科紹介

ここでは京大の学部・学科を学生視点から紹介しています。
京都大学にはどのような学部・学科があるのでしょうか。
これを読んで、学部・学科を決める手助けとしてください。

農学部

農学部資源生物科学科

ペンネーム:ふなやん

こんな人におススメ!

  • ・興味の幅が広い人
  • ・実習を楽しみたい人

何を学ぶところ?

 一言で言うなら、「生物ならなんでもあり」な学科です。植物、動物、海洋生物、昆虫、微生物など研究の対象がとても幅広いです。基本的には生物学の知識を学びますが、高校時代に生物を履修していなかった人も結構います。
 1回生のときは一般教養の授業と両立しながら、研究室ごとの研究内容や関連するトピックを聞く授業があります。ここで気になる分野を見つけておくのがおすすめです。
 2回生になると実習の授業が出てきます。農場実習では毎週農場に行って、野菜や果物の種まきから収穫まで体験できます。夏休みに行われる実習としては、黒毛和種の世話をする牧場実習と、船に乗ったりスキューバダイビングをしたりできる水産実習があります。
 3回生になるとコースに分属され、学生実験が中心となります。私は植物生産科学コースに所属しているのですが、作物、果物、花などまだまだ触れられるジャンルが多くて楽しいです。
 4回生から研究室に配属して卒論のための研究を進めます。

志望したきっかけ

 私はずっと座って講義を聞いているのが苦手なので、実習や実験が多い学部学科がいいなというのと、動植物や自然に興味があるので、農学部に興味を持ちました。資源生物科学科では詳しく勉強する分野を入学してから決められるので、なかなか志望分野を絞り切れない私にぴったりでした。

わたしと農学部資源生物科学科

 期待していた通り、実習は楽しいです。農場実習では美味しい野菜や果物を持ち帰ることができましたし、夏休みの牧場実習と水産実習では普段はできない非日常的なことができたのが良かったです。ただ、普段の授業は結構地味だなという印象があるのが正直なところです。細胞や分子に関する細かい話は個人的に苦手なので、全てが全て楽しいというわけではないです。それでも、実習が他の学部学科と比べて多く、色々なことを勉強できる資源生物科学科に入って良かったと思います。

農学部応用生命科学科

ペンネーム:うどん

こんな人におススメ!

個人的には、化学(特に有機化学)が好きで、実社会に役立つことがしたいという人におすすめです。微生物などを用いた発酵の研究や、生物の生体高分子の働きなど、多種多様な研究ができます!3回生になると毎日実験をすることになるので、実験が大好きという人にはうってつけの場所かもしれません。

何を学ぶところ?

基本的には化学と生物のかけ合わせた学問を学びます。1回生では高校の生物の内容も復習するような授業構成なので、物理選択の人も安心です。2回生からは少しレベルが上がった授業や、研究室の紹介を行うリレー形式の授業があり、配属される研究室の参考とすることができます。3回生では毎日実験を行い、その経験と4回生からは応用生命科学科の研究室に配属され研究に励むことになります。

志望したきっかけ

自分は化学が大好きで、もともと理学部を受験したいと思っていたのですが共通テストの点数的に少し厳しいと思い、同じく化学をメインで学べる農学部の応用生命科学科を受験しようと決心しました。特に自分が有機化学好きなこともあって、このことが農学部の中でもこの学科を選ぶ決め手となりました。

わたしと農学部応用生命科学科

周りには意外と物理選択が多く、生物をガチガチに固めておかないとついていけないということはないです。生物に関しても、授業中よく出てくるものは自然と覚えるので、生物が分からなくて大変なことは少ないです。生物よりの化学分野もあれば、かなり化学に寄った分野もあって、何を研究したいかじっくり探すことができる時間も確保されているので、きっと自分の好きな分野を見つけられると思います。

農学部地域環境工学科

ペンネーム:スクカマ

こんな人におススメ!

  • ・農業が好きで数学、物理、工学が好きな人
  • ・農業分野の最新技術について学びたい人
  • ・農業、環境問題を解決したいと思っている人
  • ・京大で工学を学びたいけど、入試で理系科目に自信がない人

何を学ぶところ?

 地域環境工学科(通称:地環)は、工学を用いて農業を持続・発展させていくことを目指しており、水や土地の生産環境、農村の環境などに技術的な面から介入していきます。具体的には、「水・土・緑系」と「食料・エネルギー系」の2分野から構成されており、前者では水田における水の管理やダムの研究、農村計画などについて、後者ではトラクターなどの農業機械、農業ロボット、選果機などについて学ぶことができます。このように地環では、農業に携わる者にとって必要な化学や生物の知識はもちろん、工学的なアプローチをしていくために必要な“ツール”として、数学や物理学の素養も求められます。そのため、1、2回生の間は物理学基礎論・微分積分学・線型代数学といった、専門科目を学ぶ上での基礎となる科目を勉強します。それと同時に地域環境工学そのものについての理解を深めるような講義や、専門科目のイントロダクションのような講義も受けます。3、4回生では先ほど述べた2分野に即した専門科目の講義や実験(土壌物理学実験や農業機械実験)などを取ることができます。3回前期の間は他学科の講義を取ることも可能です。4回生進級時には、7つの研究室から選び、卒業研究が始まります。卒業研究では自分の学びたいことをさらに深めることができます。工学+農業、環境問題に携わりたいのならば最高の学科です。

   授業に関しても工学の授業が多く、研究テーマによっては農業と全く関係ないガチガチに工学なものもあるので、機械・土木で迷っていたり、工学を学びたいけど入試の配点が農学部の方が有利だという工学部志望の人にとってはかなり穴場だと思います。逆に生物・化学をメインでやりたいという人にはあまり向いていないような印象です。(化学とかだと土壌中のリン吸着とかがあるくらいです。唯一、農村計画学は社会系なので食環に近い。)

志望したきっかけ

 小さい頃から生き物(特に魚)が好きで、小学校の頃は熱帯魚の飼育にどハマりしていました。また、日本の食料自給率の低さや地球温暖化などの環境問題について授業などを通して聞いて胸が痛くなり、将来はこれらを解決できるような職に就きたいと幼い頃から思っており、高校入学時から農学部を死亡していました。最初は他大学の農学部を志望していましたが、成績が思ったより伸び、高3の12月頃から京大を意識し始めました。学科に関しては再生可能エネルギーや水問題など農業・環境問題について広く扱っていそうだなというイメージで地環を選びました。ですが、受験の直前であまり学科を吟味できず、京大を受けるかいなかで悩んでいたように思います。

わたしと農学部地域環境工学科

 上記の通り、突発的に学科を決めてしまったがために自分はミスマッチを起こしてしまいました。学問としては生物学に興味があり、それらについても幅広く学べると期待していましたが、講義や実験はほとんどが興味のない機械や土木工学などの工学関係で、違和感を持ちながら授業を受けることになってしまいました。

 しかし、各研究室の研究内容の紹介など面白いと思う場面は多く、特にプログラミングには熱中していたように思います。地環では他学科の授業もとることができ、農学部の内容に幅広く学べたり、2,3回生は時間に余裕があるため、他学部の授業を取ったり、ゆっくりと自分の興味について考えたりできました。その中で水利施設など人為的な影響が生態系について与える影響について興味を持ち、現在は理学部生物科学専攻で生態学を学んでいます。地環で計算やプログラミングがやっぱり好きだと気づいたので、それらを扱う数理生態学を学んでいます。その他、興味のある環境経済学や生物学についても自主的に学んでみようと思っています。

 他学科の興味のある授業を受けられたらという後悔はあるものの、最終的には自分の興味を知ることができたし、友人にも恵まれ、良かったなと思います。とはいえ、大学は人生の中でやりたい勉強を突き詰められる貴重な時間ですし、自分の好きな勉強をするのに越したことはないので、自分が何に興味を持っているのか、何を楽しいと思えるのかについて、自分と向き合って考える時間を作ってみてください。先生や保護者の方も、受験生が大学でどのようなことがしたいかについて聞き、話を引き出してあげると良いかと思います。応援しています!!

農学部食料・環境経済学科

ペンネーム:だしまきたまご

こんな人におススメ!

  • ・食に興味がある人
  • ・フィールドワークが好きな人
  • ・理系だけど経営や経済の仕組みが気になる人

何を学ぶところ?

 農業にかかわる問題を経済学の視点から考える、農業経営体の構造がどうなっているかを分析するなど、農業経済を基本に学んでいきます。例えば、どういう農業をしたら利益が出るのか、どのような政策があれば農業がしやすくなるのか、農産物の国際貿易をするとき制度の違いによってどんなことが起きているのかなどです。

 大まかな流れとしては、1回生では全学部共通の一般教養に加えて農学や経済学に関する基本的な知識を学び、2回生からはより専門的な知識を身につけます。さらに3回生の後期から研究室(8つのうち1つを選びます)に配属され、自分で決めたテーマに沿って、4回生からは本格的に卒業研究を進めます。

 理系学部には珍しく実験がありません。なので、実験室で実験がしたい!という人には物足りないと思いますが、逆に実験があまり得意でない、実験室で実験するよりも実際に農業の現場に行って調査がしたい!という人にはとても適した学科だと思います。

志望したきっかけ

 私は食べることが好きで、食を直接支える役割を担う農業にも興味を持っていました。また祖父の畑で野菜や果物の収穫を手伝ったり、家族で田舎の自然豊かな場所に出かけたりと、幼い頃から農や自然に触れる機会がありました。そのため農学部を志望し、なかでも現在日本や世界が直面する農業問題(担い手不足、低収入、環境問題など)やその解決法を学び、将来は自分自身が日本の農業をより良くすることに貢献したいと思い、食料・環境経済学科を選びました。

わたしと農学部食品生物科学科

 農学部では自分と共通の興味関心を持つたくさんの魅力的な仲間との出会いがありました。なかでも食料・環境経済学科は、1学年34人程度でクラスが1つなので、クラスの全員で授業を受ける機会も多く、とてもアットホームな雰囲気があることが他の学部学科との違いでありこの学科の魅力であると思います。また1,2回生時にほぼ全員が参加する宿泊実習があり、クラスの仲を深めることができます。(私の学年は、1回生時はコロナ禍で宿泊実習に行けませんでした…。2回生時には2泊3日で京都府の綾部市を訪れました!)他にもフィールド調査に行く機会は多く、私は有機農業に関する卒業論文を執筆する予定なので先生に同行して奈良県宇陀市や兵庫県神戸市の有機農家を訪れたりしています。調査テーマによってはヨーロッパやアフリカなど海外に行く人もおり、学生がやりたい!といえば先生方が協力してくださる恵まれた環境があります。

農学部森林科学科

ペンネーム:ゆん

こんな人におススメ!

  • ・自然や生物が好きな人
  • ・フィールドワークに行きたい人
  • ・環境や自然には興味があるけどやりたいことが明確に決まっていない人
  • ・化学が好きな人

何を学ぶところ?

  森林科学科をひとことで言えば、「森林に関係することなら何でもやる学科」です。大きくフィール系とマテリアル系の2つに区分されます。フィールド系では、どのように森林を管理するのかという社会的な視点から、森林の生態系や物質循環など科学的な視点から研究を行う研究室まで様々あります。特に京大の森林科学科は、全国に研究林を持っているため、温帯林から冷帯林まで幅広く研究を行えます。さらには東南アジアなどの熱帯林での研究にも強く、熱帯に着目して研究を行っている先生が多いことも特徴のひとつです。マテリアル系では、木材の構成成分に注目して化学的視点から研究を行うだけでなく、木材の物理的性質の研究や、木材のエネルギー利用などの研究も行うことができます。実は木材成分は製紙だけでなく、食品や化粧品にも使われており、この学科から化学会社や食品会社に就職する人もいます。

 続いて、具体的なカリキュラムを紹介します。まず、1回生では森林科学の基礎を学びます。専門科目は週に2コマほどで、一般教養の講義がメインになります。2回生に入ると、フィールド系、マテリアル系の両方から森林についての理解を深めます。実習も入ってきて、実際に近くの山に行って様々な樹種を覚えることもあります。2回生後期以降になると、週のほとんどは専門科目になります。フィールド系とマテリアル系は最終的に3回生後期に行われる研究室配属の時に決めたらよいので、それまでは自分の興味に合わせて様々な講義をとることができます。樹木を構成する物質(セルロースとリグニン)に特化した講義もあり、このような講義があるのはここだけと先生も仰っていました。

志望したきっかけ

 もともと環境問題に興味があり、特に気候変動やエネルギー問題に対して危機感をもっていました。また、自然が好きだったので、自然と環境問題の両方について学べる学部を探していたなかで森林科学科を見つけました。全国の大学を見ても、森林科学科を設置しているところは少なく、さらに京大ではエネルギーとしての利用についても研究できるということだったため、志望することに決めました。

わたしと農学部森林科学科

 マテリアル系で木材のエネルギー利用について研究したいと意気込んで入学した私ですが、様々な森林の講義を受ける中で、入学前には気づけなかった森林の面白さを知り、最近はフィールド系に行こうかと悩んでいます。入学当初は生物や化学に関連する講義が多いのかなと思っていましたが、実際は理科全般、さらには森林にまつわる法律や政策まで幅広く学べる環境でした。環境問題を考えるうえで森林が占める役割は想像以上に大きく、木そのものだけでなく、水・大気循環や土壌、生物などあらゆる分野について学ぶことができる点もこの学科の好きなところです。森林について勉強していると言うと、「林業やってるの?」と聞かれることもありますが、みなさんが想像している以上に森林科学は奥深いですよ。

 また、私の同期には見た瞬間に樹種を判別できる人や、昆虫にとても詳しい人など森林科学科でないと出会えなかった人がたくさんいます。1学年60人と人数も少なく、実験の考察などを一緒に議論するだけでなく、学科でBBQをするなど(気が付けば周りの木の名前あてクイズが始まることも…)学科内での交流もさかんです。ぜひ研究室のHPを見て、どのようなことをやっているのか調べてみてください!

農学部食品生物科学科

ペンネーム:せる

こんな人におススメ!

  • ・生理現象・生命科学について興味がある人
  • ・食品の設計・製造に興味がある人
  • ・実験が好きな人

何を学ぶところ?

 食品生物科学科は食品に対する幅広い知識を学びます。私の研究室では食品天然物由来成分の有機合成を行っていますが、他の研究室ではマウスを使った栄養学・生理学系の研究や細胞や微生物を対象とした研究、食品の設計なども行っています。そのため、1,2回生では化学、生物、物理すべての分野を学ぶことになります。より詳しく言えば、生化学、栄養科学、有機化学、物理化学、食品工学、分子生物学、微生物学などです。逆に、食品の流通などについては専門外となるので気をつけましょう。1,2回生の専門の授業は3回生以降の実験や研究の土台となるのでしっかりと頭に入れておきましょう。2回生は特に時間があるので、好きなことに打ち込むとよいでしょう。3回生になると、午前には講義、午後には毎日実験と、2回生までとはうって変わって忙しい毎日が続きます。この期間で自分が興味を持てる分野を探し、配属する研究室を決めることになります。3回生以降は空きコマがなくなり、バイトやサークルを中心とした生活はできなくなるため、気をつけましょう。4回生は研究室配属となり、吉田キャンパスと宇治キャンパスに分かれて卒論制作に取り組むことになります。

志望したきっかけ

 私は元々、有機化学に興味があり薬の研究をしたいと考えていたため、現役時代は大阪大学の薬学部を志望していました。しかし、浪人するとなったときの志望校選びで食品生物科学科の生命有機化学分野を見つけ、有機合成系の研究ができること、研究対象に当時興味のあったアルツハイマー病があることを知りこの学科を目指すことに決めました。

わたしと農学部食品生物科学科

 私は現在、有機合成という外から見た食品生物科学科のイメージとは少し異なるかもしれない研究をしています。もちろん、The食品みたいな研究分野もありますが、それ以外にも学べることはあります。逆に「入ってみたらなんか思ってたのと違ったなぁ」ということもあるかもしれません。食品生物科学科に限らず、農学部では特に「思ってたのと違った」ということが起こりやすいです。イメージだけで志望を決めていると、実際に自分がやりたかったことは別の学科にあったなんでことが起こるかもしれません。そんなときのために転学科というシステムや院試で別学科を受けるなどの方法もありますが、ミスマッチはできるだけ避けたほうがよいとは思います。学部学科の公式ホームページや実際に京大に進学した先輩などから情報を得てできるだけ志望先を吟味するのがよいと思います。先輩の伝手がない場合は京大生協の受験生サポート事務局など、受験生支援を行っている団体などに質問を送ってみてください。

 私は幸運なことに今の研究生活がそれなりに充実しており、楽しい日々を送っています。これを読んでくださった皆さんにも数年後そんな未来が訪れていることを祈っています。

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